プレゼンテーションの極意

プレゼンテーションの極意

プレゼンテーションの極意

「デザイナーは喧嘩師であれ」で知られている川崎和男氏の著書。自分の車いすがカッチョワルイからデザインしたら、それがMoMAなどに収蔵されてしまった人だ。この1月に研究発表があって、その中で僕がプレゼン係になっているので、プレゼンの本が欲しいと思っていたのだ。そこで川崎和男の本を選んでしまうあたりが間違っているかも知れないが(^_^;)
 川崎氏はプレゼンで何かを伝えたい時、「わがまま」と同時に「誠実」でなくてはいけないと説いている。「わがまま」とは、「わが」+「まま」=「自分を自由にする」こと。自分を大事にすること、自分を信じることであると。「わがままを発揮するためには、いつもどんなときでも、自分に正直で、素直でなくてはいけない」という一見逆説のように見えてしまう言葉が印象的だった。そして同時に言葉がつたなくても、その伝えたいこと対する愛情があって、誠実に伝えようとすることがプレゼンでは大切であるとしている。なんだかプレゼン本ではなく、学級経営の本を読んでいるような気分になるから不思議だ。
 もちろん、聴衆との呼吸を合わせるための山場の作り方や、文字レイアウト、色相環を考えての色使いなどのテクニック的なことも書いているので、プレゼンの本としてもちゃんと役に立つ。PowerPoint1.0以前からプレゼンソフトを使っている筆者がPowerPointとそのテンプレートをクソミソにけなしているのが笑ったが。
 「好奇心を刺激する、安心感がある、記憶に残る」というプレゼンテーションの要素は、そのまま授業に持ち込んで考えることができる。自分も(一応)授業のプロフェッショナルなので、いつもこういうことを意識して授業できたらなァと思う。
 この本、一言で言うと「おもしろい」。面白いから一気に読んでしまった。プレゼンの本としてももちろん役に立つが、最先端を突っ走っている人の行き着いたところを教えてもらえるという点では、プレゼンの手法だけではなくさまざまな職業の人にも通じる要素があると思う。