王への手紙

 岩波少年文庫の結構厚手の上下巻に分かれた本。異世界中世騎士ものの古典的なファンタジーだが、魔法や妖精が出てくる訳でなく、世界設定は結構リアリズム志向だ。オランダでは過去50年に出版された児童書のベスト1に選ばれたという良著だ。
 騎士見習いのティウリは死の淵にある騎士から王への手紙を託され、隣の国へと一人旅に出る。その手紙は二つの王国の命運を左右するものだった…。スパイや謎の騎士団などに命を狙われつつも、肝心なところではいい人たちにちゃんと救われるので安心して読める。本が好きな子だったら中学年くらいから読めるかな?
 ミステリー調で謎解きを楽しみながら、主人公の冒険譚を楽しむのが好きなら物足りないかも。謎解きっぽいのもあるけど、主眼がそこにおかれていなくて、しっとりと落ち着いて物語が進むのがいい。リンドグレーンの「ミオよ わたしのミオ」のように安心して読める良質のファンタジーだ。

王への手紙 (上) (岩波少年文庫 574)

王への手紙 (上) (岩波少年文庫 574)

王への手紙 (下) (岩波少年文庫 575)

王への手紙 (下) (岩波少年文庫 575)

ついでにリンドグレーンも紹介。ぜひ読んでほしい。
ミオよわたしのミオ (岩波少年文庫)

ミオよわたしのミオ (岩波少年文庫)