岩手、日本の原風景へ 8月8日 遠野〜陸中海岸〜岩泉

 次の朝に出発の時は、相変わらずセブンは大人気。おかみさんやヘルパーのお姉ちゃんたちが順番にセブンに乗って、写真を撮っていた。そしてここはご飯はおいしい、人は温かい。セブン乗りはみんな遠野YHに行こう。

女性陣が興味津々で乗り込んで遊ぶ。
 というわけでみなさんに見送られつつ出発。早池峰神社に行こうかと考えたけど、今回はそれは見送り。次回早池峰山に登る時にまた遠野YHに来て、そのときに参詣しよう、などと将来の計画なども考えてみる。
 遠野を出る前に、カッパが出るという「カッパ淵」に行ってみる。お寺の裏にある川縁は、何とも言えず懐かしい風景。いかにもカッパ出そう。カッパの像もあるし。そしてここで遠野ともお別れ。ああ、また来よう。ここはすべての日本人の故郷とも言えるなあ。

カッパ淵に入る手前の道にて。古ぼけた木組みに見えるが、大昔はこれが早池峰山に参詣する時の最初の鳥居だったらしい。





遠野にいると、ただの河原もファンタジーの色濃い風景に変わる。

さらば遠野。田園風景も見納め。
 ということで国道340号をひた走り、迂回路などもまわりつつ宮古へ向かう。宮古には浄土ヶ浜という白い岩肌&松の名勝があり、まずはそこへと向かうことに。340号は途中工事があって迂回路を通らなければ行けない。youtubeでこのルートを調べた時に迂回路があると言うことを知っていたのだが、まったくもってその通りだった。

旅で必ず出会うのが、ローカル線とのすれ違い。今回もありました。
 しばらく走ると浄土ヶ浜に到着。駐車場で子供がセブンをまじまじと見ていたのでちょっと自慢げな気分だったのだが、その子は不思議そうな顔で「ひとりなの?」と訊いてきた。一人旅のおじちゃんはとしては、格好良く「旅は一人でするものだ。おまえもいつか一人で旅に出るがいい」と答えておいた。隣でお母さんが吹き出して笑っていたが。
 浄土ヶ浜は海水浴場にもなっており、名勝を見ながら海水浴ができる贅沢な場所だ。名所で海水浴というと、天橋立もそうだった。しかしここは目の前に美しい岩を目にしながら海水浴できるので、より贅沢な感じだ。サッパ船で海上の遊覧観光なんかもできるようなので、いろいろな楽しみ方ができそうだ。

潮干狩りに興じる子どもたち。たくさんの人が楽しんでいた。



 1時間半ほどあちこちで写真を撮りまくってから移動。ちょっと北に潮吹穴なるものがあるらしく、行ってみる。とはいえ波が高くないと潮を吹かないらしいので、期待しないで行ってみたらやっぱり潮は吹いていなかった。残念。案内板には「潮を吹かないことも多いので、ほら吹き穴とも呼ばれる」と書いてあった。今日はほら吹き穴の日だったらしい。
 気を取り直してさらに北に移動。あとは陸中海岸の断崖の名所、鵜ノ巣断崖と北山崎だ。100m超の断崖をのぞいたり、見上げたりしに行くのだ。
 鵜ノ巣断崖についたときには曇ってはいたがそんなに悪い天気ではなかったのだが、海に近づくに連れてガスが出てきた。海から吹き付けるように霧が起こり、視界はあまり良いとはいえない。断崖についてみたら、下の方は見えるけど、上の方は霞がかかって見えない状態になっていた。展望所から下を見ると、どうも遊歩道らしい隧道が見える。下まで行こうか考えたのだが、北山崎でも降りられるらしいので、もやのかかる鵜の巣断崖より、北山崎に期待をかけて移動することにした。

上部が雲に隠れて残念。でも真っ白で見えないよりはましか。

断崖の下に小さく見える隧道。どーやっておりていくんだ。

 途中、田野畑村島越集落で、断崖見物の観光船に乗ることにした。サッパ船で冒険のように洞窟をくぐったりする観光船もあるらしいが、怖いからやめた。かつてのおぼれた記憶がなんとなく脳裏をかすめるのだ。やはり海は怖い。おら海はダメだ。
 ちなみに国道から島越集落へ降りていく道は、途中崖を転がり落ちるかのように一気に高度を落としていく道でおもしろかった。遊覧線の時間まで、島越駅の2階で冷やし中華を食べて腹ごしらえ。ちなみに島越駅の正式名称は「カルボナード島越」隣の駅は「カンパネルラ田野畑」。宮沢賢治にあやかったらしい。
 遊覧船のいいところは、放送で名所案内をしてくれるところだ。あちこちの岩の由来なりなんなりをいろいろ教えてくれて楽しい。北山崎の断崖は最大180mって言ったかな?下から見てもすごい迫力。これからあの上に行くのだ。

出発〜

カモメ用のパンがあって、投げると器用に空中でキャッチする。カモメは目が怖い。


せっかくの写真だが、180mというスケール感が伝わりにくいのが残念。


港にて。
 という訳で島越から北上し、北山崎へ向かう。鵜ノ巣断崖よりもずっと観光地化されていて、そのへんは好みが別れるところだろう。しかし岬からの眺望はやはり北山崎の方が上だ。見事な景観美には、ただただ圧倒される。朝の光に照らされる北山崎なんかは美しいだろうなあ。
 ここに来てガスも晴れ、眺望もばっちり。さあ気合いを入れて180m下まで降りるぞ!と意気込んだにも関わらず、下に降りる道は落石で通行止めだって。ちぇ、せっかく歩く用の靴にもはきかえたのにさ。しかし、下まで500段あまりの階段だって書いてあったから、ちょっとほっとしたようなしないような。

展望台から。空もまた素晴らしい眺望。

最初は少し霧がかっていたが、海風に吹き飛ばされるように晴れた。

見事な断崖の海岸線。

足下にも目を向けると、小さな花が。

ここを降りていくらしいが、通行止め。残念。

サッパ船はここを通るらしい。怖え。


遠くにかすかにサッパ船がゆくのが見える。
 親子連れが歩きながら、子どもたちが興奮しながら「明日さあ、サッパ船乗るの超楽しみ!」と右に左に走り回っていたのがおもしろかった。その家族の奥さんはこの断崖の下まで行ったことがあるらしい。いいなあ。
 この時点で4時半。龍仙洞のある岩泉につくのは、たぶん5時過ぎだろう。リサーチだと龍仙洞は6時までやっているらしいが、あんまり無理するとつまらなさそうなのでやめた。次の日まわしにするのがよかろう。
 結局岩泉に着いたのは5時をまわってから。ネットで調べたときには岩泉の宿は少なかったのだが、道のそこかしこに民宿がある。おかしいと思ったが、「旅館 岩泉」ではなく「民宿 岩泉」で検索したら出てきた。キーワードの絞り込みミスだった。
 今日泊まる宿は岩泉駅の真横にある「旅館いわいずみ」だ。しかしなんとも古ぼけた感じで味がありすぎる。定番のヘルストン温泉に入り、今日の汚れを落とした。
 後輩から岩泉にあるイタ飯屋がうまいという情報を聞いていたので、宿の夕食をそこそこにすまして探しに行くことに。こんな時にiPhoneは役に立つ。マップでそれらしき店がヒットしたら、GPSでそこまでナビさせる。便利だ。

ワタリガニのクリームパスタ

店内でセブンの仲間を発見(^_^)
 イタ飯屋ではワタリガニのクリームパスタを食べ、生ビールを飲んだ。3杯飲んだら旅の疲れもあってふらふらになってしまい、宿でバタンキュー。明日は龍仙洞だ……