反・教育入門 教育課程のアンラーン

反・教育入門―教育課程のアンラーン

反・教育入門―教育課程のアンラーン

 yoのブログで見たので購入してみたら、これがまた面白い。現在の「学力低下」論争について、大きく5つのグループに分け、それぞれの論拠をもとに分析し、問題点を洗い出している。そもそも「学力」という言葉が虚構であるととらえ、必要なのは「学力」ではなく「リテラシー」であるとする論にはとても納得がいく。(「リテラシー」をどうとらえているかについてはぜひ読んでみてほしい。)
 教育課程や単元構成の立案についてはやや現実的には難しいものを感じるが、現在の学力低下論争を、いろいろな言質に流されることなく批判的な目で見るためには是非とも読んでおきたい本だ。
 個人的には習熟度別教育に対する批判に注目したい。前任校で習熟度別の授業を行っていて、その場でなんとも言えない違和感を抱いていたのだが、はっきりしなくて言いだせなかった。習熟度別教育が本当に効果的なのか、研究や検証を行わずに進めていくことはとても危うい。それは単なる教育の階層化であって、格差を広げるものでしかない。自分が感じていたことが子安氏の言葉ではっきりとして、霧が晴れていくような思いがした。
 この本に関しては、yoのブログ「教育ニュースへのツッコミ」でもくわしく紹介している。