窓際のトットちゃん

(買切) 新装版・窓ぎわのトットちゃん

(買切) 新装版・窓ぎわのトットちゃん

 有名な本だけど、今更ながら読了。なんだかいかにも発達障害っぽいトットちゃんと、それを軽く受け入れちゃう懐の深いトモエ学園がなんとも面白い。校長先生の小林先生が何時間もトットちゃんの話を聞き続けたり、「きみは本当はいい子なんだよ」と言い続けることなんかは、いつの時代になっても変わらない大切なことだよなあと、深く感じる。
 校長先生が怒ったおぼえがない、とあるのはやはりすごい。大抵のことは怒らないでもすむのに、つい怒ってしまう自分がいる。でもやっぱり怒らないで生きていきたいと、そう思うのだ。
 これは教員が読んでも、親が読んでも、子供が読んでも、どの立場からでも考えるきっかけになるだろう。それに、いわさきちひろの挿し絵がまた美しい。ちひろの絵は子供の頭の形がなんとも愛らしいのだ。くるりとなでたくなるような頭と、まるいおでこ。そして優しい瞳が自分の子どもたちを思い出させてくれる。そういえば、浪人生になって初めて貰った小遣いで買ったのが、ちひろの画集だったような記憶がある。トットちゃんとは関係ない話だが。