岩手、日本の原風景へ 8月11日 八幡平

 八幡平YHの朝。昨日の大雨からうってかわっていい天気。朝方は雲が下がるので、下界が雲海に沈んで美しく輝いていた。雨の上がった後は冷えて寒いが、締まった空気が気持ちいい。岩手山は残念ながら雲の中。雲海があればあるできれいだが、雲があると岩手山が見えなくなる。ジレンマだ。




 食事の前に八幡平頂上へ朝練に行く。バイクのお兄ちゃんは自分のバイクで。女の子はセブンに乗ってみたいというので隣に乗せた。セブンの隣に女の子が乗るのは滅多にない。バイク乗りは「狭い」とか「うるさい」とか「怖い」とか言わないからいい。涼やかな笑顔で「いい加速感ですね」って。隣に女の子がいるからがんばって走ってみた。まあ、僕はへたれで遅いですが、それなりにがんばって。ハイ。

ソフトバンクの携帯は八幡平では入らない。下界が見渡せる所でかすかに電波が入るくらい。見通しのいい展望台でメールチェック。

源太岩と呼ばれる大岩。迫力だ。

一応女の子が乗ったという証拠。

お兄ちゃんの乗るバイクが走っていく。雲海に向かって。
 途中でお兄ちゃんのバイクにくくりつけてあったカメラ用ステーにカメラを取り付けさせてもらい、ムービーなど撮ってみたが、すごい震動でまともに見られたモノではなかった。残念。お姉ちゃんに走っている最中の写真など撮ってもらいつつ、八幡平ユースに戻って食事。いざ片付けて出発するとなると、ホステラーのおっちゃんが物珍しげにセブンを見ていた。他のセブンの人とか、来てないのかなあ。いい所だからもっとセブン乗りも利用すればいいのに。

出発直前。八幡平YHの前で。
 そして八幡平へと向かう。今日は一日八幡平で過ごして頂上まで行く予定だ。晴れている空がうれしい。山の天気は変わりやすいと言うから、午前中のうちに八幡平のハイキングを済ませてしまいたい所だ。

頂上へ向かう道。晴天だ。

頂上からアスピーテラインをのぞむ。美しい道だ。
 背中にカメラを背負い、出発する。今回の旅に持ってきた機材はオリンパスE-410,ZD9-18,ZD50macro,ZD40-150,ZD14-42,Summilux25と豊富だが、画質のイマイチ感があってZD14-42はほとんど使わなかった。スナップのメインはズミ。ここはやはり外さない勝負玉だ。風景にZD9-18を使い、マクロにZD50mm、遠景の切り取りにZD40-150を使う。思ったより40-150がきれいにとれた。キットレンズだけど、なかなかの使い勝手の良さだ。
 八幡平を登るとすぐにきれいな沼が見える。ここから歩きやすいルートが続き、いろいろな沼を見ながら歩くことになる。高山植物も豊富で、マクロレンズが大活躍だった。

鏡沼。まさしく鏡のように晴天を映し出していた。

二つ並んだ眼鏡沼。

美しい花がそこかしこに。

八幡平の頂上にて。頂上は晴れていたけど、遠くは曇っていて景色はのぞめなかった。

花を見ながら足を進めると、八幡平最大の沼「八幡沼」に出る。

広大な八幡沼。ここって高原の頂上だよね。

八幡沼の周りにも花が咲く。
 八幡沼一周くらいは普段着でもできるハイキングコース。そこからさらに歩くトレッキングコースがあるので、そちらに向かう事にした。結構えっちらおっちら歩いていて道に自身が亡くなってきた頃、ボランティアの監視員みたいな人と出会って話を聞いたら一緒に行って歩いていくことになった。地元の人っぽくてえらい健脚。必死について行って、ほどよく運動しつつペースメーカーとして引っ張ってもらった感じだった。



ここは八幡沼の周り。この辺の湿原は平坦で歩きやすい。
参考:八幡平トレッキングマップ http://www.hachimantai.or.jp/trekking/pdf/hachi_map.pdf
 八幡平から源太森に入り、黒谷地湿原まで抜ける。ここから茶臼岳までおじさんは行くらしいけど、時間と体力を勘案して僕は引き返すことにした。茶臼だけの上の方がガスで真っ白けだったのもあるけど。源太森からは八幡沼が望めた。そのころには八幡沼の方にもガスがかかってきていた。そろそろ引き返し時か。


黒谷地湿原にあるわき水「熊の泉」マジ美味い。これ鬼パネェっすよ。
戻りしな、ふと気がつくとポケットに入れておいたグローブがない。歩くうちにポケットからこぼれ落ちたようだ。旅の前に新調して買ったばかりだったのに……。しょうがないから全く同じルートを歩きながら戻ることにした。景色もそこそこに下の方を見て歩くのはやや残念。でもゆっくり歩いた分、周りの景色も気をつけながら歩けていたかも。結局グローブは発見できず。駐車場のサービススセンターに聞いても届いていなかった。うむう。

駐車場から見た八幡平。写真上部の小屋はトレッキングの最初に出てくる見返峠のトイレ。この標高差!

駐車場のセブン。

駐車場から八幡平YHが見える。
 YHの下の方には「五色沼」なるものがあるらしい。そういえばYHのそばの鳥居には「赤沼神社」と書いてあった。赤く濁った沼が拝めるに違いないと思って、パーキングの食堂でカレーを食べてから出発。八幡平YHを通り過ぎ、ちょっと行くと「五色沼」と書いてある看板があったので車を脇に寄せた。ここから木道を歩いていけば、距離的にすぐ五色沼までたどり着くようだ。木道のそばの植生を見ていると、さっきまで歩いていた八幡平の頂上とはだいぶ違うようだ。高さの差で、咲いている花がぜんぜん違うのには驚いた。
 歩いてすぐに御在所沼にたどり着く。八幡沼ほどではないが、大きな沼だ。その向こうに見える小さな沼が五色沼だ。五色沼を見たとたん、「えっ?」と半口が開いた。

こちらは御座所沼。

こちらが五色沼
 御座所沼は空の青が映り混んだ水の色だけど、五色沼の方は明らかに水そのものが青と白の絵の具を溶かし込んだかのような色をしていた。写り込みなどではない。よくよく見ると透明度も結構ある。それがある一定の深さまで来ると青白色の霞の中に溶け込むように何も見えなくなる。その神秘的なブルーには思わず見ほれてしまった。

水面の下もくっきりと見え、水質の良さを感じさせる。

空の青とは明らかに違う青白色。
 看板を見ると、沼の中にあるわき水が硫黄分を含んでいて、季節の水温によって酸化鉄の赤や、硫化水素の白の影響が出るようだ。水温が高くなる夏には参加が止まって、青く澄んで透明度は8mほどになるらしい。いまはやや酸化も進んで赤くなる途中の少し濁った青白色のようだ。



美しい五色沼ギャラリー
 帰る道すがら、遠くに工場らしい廃墟が見える。そのときは「???」ぐらいだったのだけど、後から調べると硫黄と黄鉄鋼を算出していた松尾鉱山という所らしい。かつてはここに1万人以上の人が住んでいたと言うことだ。「松尾鉱山」でググると廃墟探索の人のHPなども出てくるので見てみると面白いだろう。


松尾鉱山のくわしいサイト http://zerotaka.web.fc2.com/ruinsindex.html

これはアスピーテラインのスノードーム。道に防雪用の覆いがしてある。調子に乗って走っているとトンネルではあり得ない角度で急カーブがある。
 沼巡りを終えたら3時過ぎ。今日はこのくらいにしておこう。昨日は八幡平YHだったが、今日は八幡平の頂上にほど近い藤七温泉という所に宿泊だ。藤七温泉は八幡平頂上から樹海ラインに入ってすぐの所にある。昨日のふけの湯のような野天風呂が目玉だ。しかも日本最高地にある温泉らしい。期待だ。

藤七温泉のバス停。硫黄分が多いのかサビサビ。

藤七温泉彩雲荘の入り口。ここも日本秘湯の会。

お子様がセブンを見てwktkしていたので、のせてやってパチリ。カワユス。

宿は古めかしく見えても、よく手入れされた清潔な宿だ。

とにかく食事がうまい。バイキング形式であちこちから取り放題。

この旅で一番はらいっぱいになった食事だった。採算合うのかこれ。

日本秘湯の会の提灯。
 食事を終え、夜になると宿の人が語り手となって、藤七温泉の昔話などをしてくれる。南部弁のなまりが暖かみがあり、ユーモラスな語りで参加者の笑いが漏れる。そんなこんなで楽しい夜が過ぎ、ビールをつまんで寝る。明日は晴れますように……日出のご来光を拝みながら温泉に入りたいんだよね。