岩手、日本の原風景へ 8月12日 八幡平〜東京(最終回)

 朝は超早起き。5時前だったかな。日の出に合わせて起床。昨日の温泉の語り手の人が、ご来光を見ながらの温泉のことを話してくれていたのだ。しかしここのところ晴れた朝はないと言うことで、期待しないで起きることにした。実はちょっと日の出の時間から寝坊してしまったので、大急ぎで浴槽に向かう。運がよければ日が昇った直後ぐらいで見られるだろうと。

雲が低く降りて、昨日と同じような雲海が見えた。空の高い所には雲があるが、山の稜線には輝く太陽が見えた。やったね!

美しい雲海。雲海と温泉。最高。


 ご来光を見た後は、そのまま露天風呂に入りに行く。誰もいなさそうなのでカメラを持って露天に向かったら、やっぱりカメラを持って入っている人がいて順番にいいポジションから撮影した。二人ともフルチンでカメラを構えて、きれいに露天がうつりそうな場所を探しながら「お先にどうぞ」とかやってる。知らない人が入ってきてその瞬間だけ見たらなんとも異様だ(^_^;)。ここのお風呂はこの前のふけの湯のように野外に浴槽を作った野天風呂だ。しかもこっちの方がスケール感が大きい。八幡平のほぼ頂上に、谷が一つまるまる温泉なのだ。これはすごい。




ただただ見て下さいとしかいいようがない。すごい。
 小一時間たっぷり温泉につかって、もう天国。ここはマジでおすすめの秘湯だ。ロケーションといい、シチュエーションといい、どこをどうとっても秘湯と言うにふさわしい。温泉から出てほっと一息ついた。今日は旅の最終日だ。東京へ帰らなくてはいけないという現実をなんとも残念に感じる。朝ごはんを食べに行くと、やっぱりバイキングで超贅沢。朝からお腹いっぱい。うむう。

取っていない食べ物がまだまだある。採算がとれなさそうなほどある。
 今日のルートを考えつつ、取りあえず蓬莱境というところが近くにあるということで、ちょっと歩いていってみることにした。道を少し行くと、茂みの中に「蓬莱境」と立て看板が。……ここ?て感じもある寂れ具合だ。

素晴らしい景色を期待しつつ……いざ突入。
 茂みをくぐり、曲がりくねった道をがさがさ進む。番号が書いた板きれがあるので、それを見ると進んでいるようだが……進めど進めど先に行っている感じがしない。風景があまり変わらないのだ。きちんと整備されている感じもしないし、歩くだに微妙な気分になってくる。


瞬間瞬間を切り取ればきれいな箇所もあるんだけどね。
 汗をかきかき、進んでやっとたどり着いた蓬莱沼。……これ?ってかんじ。うむ……帰ろう(^_^;)。

蓬莱沼の入り口。やっと着いた!と思いきや。

まあまあきれいではある。でも昨日見てきたところがもっと美しかっただけになあ……

帰り際、山の上の方に八幡平の頂上の駐車場が見えた。
 昨日の手袋を落としたことがずっと気になっていたので、きょうも八幡平をもう一度だけ歩いていこうと決めた。天気も良さそうだし、八幡平をもう一度見ていくのもよかろうと思って宿に入るともう一度風呂に入り、出発の準備を始める。狭いトランクや助手席に荷物を詰め込み、セブンに火を入れる。今日も快調だ。この旅ではセブンは一度も不調に見舞われなかった。それだけトラブル出しも十分終わったと言えるのだろう。あとは経年変化での部品を丁寧にかえてメンテしていけばまだまだずっと乗れそうだ。たのむぜ、相棒。
  アクセルも軽く、すぐに頂上の駐車場にたどり着いた。駐車場のおじさんに聞いたけど、やっぱり手袋は届いていないみたいだ。まあいいか、と思いつつカメラを入れたシングルショルダーのリュックを背負い、もういちど八幡平の頂上へと出発した。

全く同じルートを歩くのも何なので、行きは違う道を通ってみた。

そこかしこに花が。

八幡沼が見えてくる道。



茎の先に一輪だけ咲くリンドウが慎ましやかで美しい。


そこら中の美しい花を愛でながらあるく。
 駐車場に戻ると、バイク乗りの渋いカップルがセブンをじっくり眺めている。「こんにちは」とあいさつしながら話しかけてみたら、どうもFC-4を買おうかと考えていたこともあるらしい。結局ケータの1.8Kスーパースポーツの在庫を紀和から手に入れることにしたと言うことだったが、超レア車FC-4のことを知っている人に出会うとうれしいものだ。渋いおじさんと美しい女性の組み合わせがちょいワルな雰囲気でかっこよかったなあ。いつかまた出会えるとうれしいと思う。結局手袋は見つからずじまい。残念だか仕方があるまい。手袋してないと手汗をかいて汚れるんだよなあ。古いグローブはあるから、もどったらしばらくはそれを使うことにして八幡平を後にした。最後はアスピーテラインで岩手方面に降りる。さらば八幡平。

岩手山が見えないのは残念だけど、美しい景色だ。
 最後に盛岡にいる後輩に会いに行く。昨年まで同じ職場にいた後輩なのだが、JAICAでブータンに行くといので学校をやめたのだから驚いたものだ(後日結婚という話を聞いてもっと驚いたが)。彼にはじゃじゃ麺を食べる所を案内してもらおうと思っていた。前に沖野さんにじゃじゃ麺だったらパイロンと聞いていたのだが、彼に話したら、「ゆーじさん、じゃじゃ麺なんてそんなにたいしたもんじゃないっすよ。いわば盛岡のジャンクフードっすよ」との事だったので、彼の家の近所につれてってもらうことにした。

彼の家の前で。顔バレNGだったら連絡をくれ。目に黒線を入れるから。

農業試験場の中を通る。「俺、ここは顔パスっすよ」……勝手に通学路にしてたらしい。
 じゃじゃ麺ははふはふ食ってたら写真撮るのを忘れてた(^_^;)。さいごに卵を入れて残った味噌を溶かして一緒にスープをそそぐ「チータンスープ」というのがまた美味かった。ありがとう、美味かったよ〜。ブータンでもがんばれ。また2年後に会おう。別れ際に盛岡で評判のベアレンビールという地ビールの店を教えてもらい、寄っていくことにした。最後に戻った時の自分へのお土産ってことで。

岩手山が見え始めた。最後に見えてよかった。

ベアレンビール。基本らしい4種類のうち、売り切れていたクラシック以外の3つを買っていった。
参考 ベアレンビール:http://baeren.jp/
 いよいよ旅も終わりだ。あとはひたすら帰る道を進むのみ。途中で寄ったサービスエリアで花巻東の試合で盛り上がって一緒に歓声を上げたりしつつ、適当に休憩を取りながら帰り道を進んだ。岩手のペースになれていてやや速度が上がりがちになるのを押さえつつ走る。

途中で牛タン串を食べた。うまし。
 ひたすら走る道すがら、すっかり暗くなったところでマスタングにくっついて走ってみたり、吉野家で牛丼食べてみたりしつつ帰ってきた。帰り着いたのは夜の12時すぎくらいだっただろうか。当時の日記を見ると0:55に「やっと帰ってきた」ってある。終わる前にはあれほど「終わってほしくない」と願ったのに、帰ってくるとそれなりに安心するものだ。今年の旅の余韻を体の中に充填しつつ、ほっと一息ついて自分の布団に潜り込む。こうして一つ、旅が終わるのだ。

後日ビールを飲んだ。うまかった。

地酒セットもうまかった。